あの時に戻ればと願うけれど、

キャンプ場館内放送設備をチェックします。

音が出ている所は◯、出ていない所は断線。

どこで断線しているかをチェックします。

ビニールテープを剥がします。

スピーカーに繋いで確認。
音が出ました!!ここまではOK!!

再び補修します。この繰り返しで、断線部分を断定します。

断線するのは強風に煽られた木々によって擦れた場所が多いと推測します。よって、ほぼ高所になります。
梯子に登ってチェックしたところ、音が出ません。

なので本館2階屋根に登り、ラインをチェックします。

暖炉の煙突


チェックする所は、ジップスライドのスタート地点よりこんなにも高いです。
ここでも同じようにします。怖いです。
私がいる部分は屋根のひさしなので、ひさしごと崩れないか?とか、本館がひっくり返らないかとか、ありえないことに怯えるのです。


音が鳴りました。
断線部分が分かりました。ここからさっき確認した所までのラインです。
本館2階屋根から降りて、断線部分をどのように修理しようか。




梯子に慎重に足を掛け、次の段に下りるその時でした。
梯子がす〜とスライドしました。梯子は止まりません。
後は重力の法則に則るだけです。
私の身体は真っ逆さまに落ちて行きました。
右足は梯子に絡み、右手は落下地点を支えようとし突き、腰と背中は強かに打ちました。

スピーカーはバラバラになりました。

やはり一人で作業するのは怖い。
ほんの少し手を貸してくれるだけでいいのです。


傷んだ身体を感じながら、梯子に足を掛ける前のことを羨むのです。


作業が中断すること。
普段自分がしたいと思っていることが暫くの間できなくなるかもしれないこと。
こうあれば良いのにとか、ああなれば良いのにと思いが湧き出ます。
でも、あの時には戻らないし、願いはすぐ叶わないのです。
今は、「これも良かった。」と受け止めることが、回復の第一歩なのでしょう。
痛い、痛いけれど、